どうしておばあちゃんは孫にお金をくれるのか
帰り際に「いいからとっときな!!」お金のなすり合い
数年前に無くなった祖母。
私は外孫だったため、祖母との思い出がたくさんあるわけじゃないけど、それでも鮮明に思い出すことがあります。
それは、祖母の家に行く度にもらっていたお小遣いのこと。
毎回決まって帰り際に玄関の前で、エプロンのポケットからガマ口を出し、1,000円〜2,000円くれるのです。
しかも、私の母に気が付かれないようにコッソリと私の手に握らせます。
「ジュース買いな」
私が戸惑っていると
「お母ちゃんには黙っとけ」
ちょっと震えてる手で、お金を持ってる私の手をギュッと握ります。
黙っていられない私。
すぐに母に報告。
すると母は
「母ちゃんお金なんていいよ!母ちゃんの好きなもの書いなよ」
そう言って祖母のポケットに、先程私がもらったお金を入れます。
そこからお金のなすり合いが始まります。
祖母「いいからとっとけ!!」
母「母ちゃんが大変な思いして働いたお金をもらうわけにはいかない!」
その様子を呆然と見ている幼い私。
最後は、決まって祖母が母のバッグに無理矢理お金を押し込む形になります。
しわくちゃになったお金
結局、毎回お金をもらって帰ることになります。
祖母と母に握りつぶされ、しわくちゃになったお金を見て、なんともいえない切ない気持ちになったのを思い出します。
感じかたは人それぞれかもしれませんが、私はこの2人のやり取りをみて、お金ってとても大切なものなんだということを学びました。
裕福な方には、母と祖母のやり取りの意味がわからないかもしれません。
母は、貧乏な家庭で育ちました。
1つの生卵に醤油をたくさん入れて、姉弟と分け合って食べることもよくあったそうです。
貧乏な家庭で育ったからこそ、お金に対して敏感だったんだと思います。
しわくちゃなお金はとても重みのあるものでした。
貧乏でも孫にお金をあげたい
子ども心に申し訳ないなって思いながら祖母からもらっていたお金。
どうしてお金なんてくれるのか、小さい頃は全く理解できませんでした。
でも、自分が母親になった今、祖母の気持ちが少しわかるような気がします。
たぶん、孫とのつながりをもっていたかったんだと思います。
外孫だったこともあり、祖母にあまり懐いていなかった私。
実際、おばあちゃんは従兄弟(内孫)のものって思ってました。
よそよそしかった私とお金を通してつながりを持とうとしてくれていたんだと思うとなんだか申し訳ないです。
もっと話しかければよかった。
大人になってから、何かプレゼントすればよかった。
入院したとき、もっと御見舞に行くべきだった。
亡くなってしまったので、時すでに遅しです。
今の私にできることは、お墓参りにいくことくらいです。